岩崎信子朗読の夕べ7


6月18日土曜日の夜は午後から夕方にかけて、激しい雨が降って
岩崎さんの朗読会に参加される方が減るのではと懸念したが、
なんとか85名の方が来てくださり、朗読の夕べ第7回目が始まった。
木内貴大さんのピアノをバックに、岸田衿子「南の絵本」の
一編の詩から始まり、辻邦生の「睡蓮」の長編が語られた。

いつもの優しい笑顔と良く透き通る声で、ゆっくりとちょうど
良いテンポで会場を辻文学にいざなった。それは、軽井沢の森や草花を愛して、
軽井沢で急逝した辻氏に思いを馳せる時となった。

休憩を挟んで、岩崎さんが多くの著名人たちとの出会いの風景を
集大成された「かるいさわいろ拾遺」から、立原道造の詩や、
堀多恵子さんの随筆を読まれた。

道造と画家深沢紅子(こうこ)さんとの若き日の出会いのエピソードは
微笑ましく感じられた。その後深沢さんは道造や堀辰雄の本の装幀をしており、
夏の間堀辰雄の別荘をアトリエとしていた。その縁で軽井沢タリアセンに
深沢紅子野の花美術館がある。

さらに「かるいさわいろ拾遺」から、晩年の堀多恵子さんとの対談の様子等を
声色を交えて再現し、岩崎さんの交流の一端を伺い知ることができた。
またの機会に他の方々との出会いの風景を是非聞かせていただきたいと
期待に胸を膨らませている。

木内さんのピアノでドビュッシーの「月の光」や、北原白秋の「からまつ林」等が
演奏されて朗読に良い流れが添えられて心地よい印象となった。