高齢者が主役のまちづくり

第10回繭ホールサロントークは、社会福祉法人 敬老園の理事長・斉藤俊明さんをゲストに迎え、「高齢者が主役のまちづくり」と題して開催しました。


 敬老園では上田市を本拠地として、県下8か所で212もの事業を展開されています。その実績を踏まえ、現実に抱える問題点をいくつかのデーターをもとにしてお話しされました。現在日本では介護認定者が約500万人いて、それを支える介護従事者は約150万人ですが、50年後には国民の1割の800万人の介護が必要となり、スッタフの数はあきらかに足りなくなります。現実に敬老園でも職員確保が難しく、上田福祉敬愛学園を設立して福祉人材の養成を目指していますが、定員60名のところ今年も生徒数は半数で、そのうち実際に敬老園に就職する者は少ないとのこと。またインドネシア・韓国からも受け入れて養成をしているが、時間もお金もかかり、福祉士の資格が取れなければ強制送還になってしまうなど問題点は多いようです。それでも移民政策を進める必要性を県に要望し、現地にスタッフを送って教育するなどされているそうです。他にも敬老園が取り組んでいるさまざまな試みが語られました。
 また上田市の高齢化率地区のトップ10が示され、上田市街地でも高齢化率が30%以上の地区もあり、今後、独居や老々世帯が増えていくことが予想されます。そのことにより、自治会の運営なども支障をきたし、買い物弱者が増え、介護問題もさらに深刻化すると思われます。
 そこで斉藤さんが推奨されるのが、「元気な高齢者が主役となって介護を担う」ということ。現在65歳から74歳のうち介護認定されている人は4%に過ぎず、残りの96%は元気なので、その人たちがお互いに連携し合い町づくりを行うというのです。今後どこかの地域で試験的にやって、少しずつその輪を広げていきたいと考えているそうです。
 後半は参加者もトークに参加されましたが、今自分の周りで起きている様々な問題が語られ、高齢者支援ネットワークの必要がある、こうしたお話をまたお願いしたいなど、具体的な意見が飛び出しました。アンケートからも、現実を知って愕然とした、これからどうしたらよいかを考えるきっかけになったなどの意見が多数聞かれました。
 斎藤さんのお話は、我々にとって大きな問題提起となったと思われます。