「島崎藤村と千曲河畔の物語」

島崎藤村と千曲河畔の物語」
日時:平成22年6月6日(日)
講師:小林明子先生

6月6日(日)上田駅前ビル・パレオ2階会議室において、千曲川地域の文学講座「島崎藤村と千曲河畔の物語」を、講師に白百合女子大学文学部国語国文科准教授の小林明子さんを迎え開催いたしました。
内容は、藤村の第一短篇集「緑葉集」の中から、上田周辺を舞台にした「老嬢」や「水彩画家」を取り上げて、藤村が描こうとした世界を探るというものです。
さて当時の上田は、明治に入って国内初の小県産業学校が創立され、ついで上田蚕糸専門学校(現信州大学繊維学部)が開校されるなど、産業や教育の面でも大いに繁栄。
「老嬢」の中でも、主人公が都会で学校生活を送るなど、裕福な家庭が子女の教育に力を入れる様子なども垣間見られます。
しかし、そんな日本の近代化の流れが充分なものであるか疑問視した藤村が、都会的要素と田舎的要素の混在する上田をあえて選んだのではということでした。
小林先生の講義は大変分かりやすく、受講生の中からは、「時代背景に大変興味を持った」「あらためて藤村作品を読み返したい」といった感想が多数寄せられました。
こうした文学講座の受講者は、ほとんどが女性というのが常ですが、今回は45名中15名が男性でした。
アンケートでも、引き続き藤村の講座の希望者が多く、根強い藤村人気を感じました。